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EMによる神龍湖の浄化
地域社会づくりフォーラム
地域社会づくりフォーラム 「美しい町、有機の里作り」
(大会配布資料「EM活用技術事例集2004」から抜粋)
第9回
自然農法・EM技術交流会京都大会
主 催 : (財)自然農法国際研究開発センター
開催日 :
平成16年2月21〜22日
場 所 : 国立京都国際会館
参加者 : 神石町長 宮野元壮(当時) ほか
神石町 は広島県の東北部に位置し、山林が8割以上を占め、耕地や宅地はわずかな面積
だ。国の経済地帯区分では山林に、県の区分では山間農業地域に属しているというちぐはぐな扱いをされている面もある。
人口は3000人弱で高齢化率は50%に迫る。過疎化が進む町の施策として、豊かな自然の中に安全で快適な生活環境、美しい生活環境を目指し、行政との民が一体となった町づくりを進めている。持に医療、健康、福祉に力を入れて「健やかな笑顔、温かい心が幸せを支える」をモットーに数々の施策を展開中である。
●町起こしを願って―――――
神石町におけるEM
の活用は農業利用から始まった。「ふれあい神石まつり」に有志でEMのコーナーを設け、町民に健康や環境浄化を訴えてきた。その中の一人に、現在神石
EM普及協会の会長を務めているFさんがいる。
Fさんはまず農業にEMを活用し、その想像以上の成果を体験しEMに対する思いを固めた。そしてEMの活用の幅が時と共に広がり、各地から様々な情報が入って来る中でFさんの夢も広がり、三つの目標を持つようになった。
一つは神龍湖をきれいにしよう、二つには有機の里づくり、三つには生ごみリサイクルを中心とした循環型の地域づくりである。
宮野町長は「市民運動と行政の関わりでは、ボランティア団体と行政との間で意思疎通を図るために、町長が住民の要望をよく聞くこと。また、ボランティア精神を育てながら町をよくする活動を展開できるように、町長の意思を直接伝えることが大切です。
例えば、住民が町行政に施設の建設を要望した場合、それをすぐ国の補助で行うことにせず、住民がボランティアでその施設を使い、町民の為に何ができるのか、どこまで地域のためにボランティアをしようとするのかを確認し、費用対効果を見て、初めて建設計画を立案する。そのようにボランティア活動を高める工夫をして、町長自らその意思を伝えなければ住民運動は高まらない。自治体だけが自立してもだめ、住民が自立しないといけない」と語る。
行政が有意義なボランティア活動を支援する姿勢が大切であると考えるからだ。町づくりのコンセプトは「自分たちのことは自分たちでやっていこう」。住民自ら参加した町づくりには住民は詰りを持てる、そんな町づくりを進めたいという考えが根底にある。町長はこれまでの経緯とこれからの活動について、次のように考えている。
「町は観光地であり、町が美しくなることを願っている、最初はEMが神龍湖を浄化するなんてできないと思っていた。しかし中学校のトイレの悪臭が問題となり、何千万円という改修計画が出たが、EMで掃除を始めたところ、まもなくトイレの臭いが無くなったので、改修の必要が無くなったことが支援のきっかけになった。また、各家庭で米のとぎ汁EM発酵液を使うと下水道の汚れが少なくなるなど効果がその都度見えてきたことで、私も今では不安をもっていない。これから願うことはこういった町のための活動に若者世代がどんどん参加してほしい」
●神石EM普及協会の発足―――――
神石町におけるEMの諸活動は神石EM普及協会が中心となっている。その普及協会設立の母体となったのは町の女性会であった。
女性会では平成13年より本格的な米のとぎ汁EM発酵液の取り組みを始めた。また広島県内海町を見学しEMで浄化された川・入海に感銘を受け、活動の大きな弾みとなった。
そして平成14年3月に神石EM普及協会が発足した。会長は前述したFさん、副会長は女性会副会長のYさんと有機農業を営むIさんである。会員は現在130名である。
そして町役場から様々な形の組織的な後援が始まった。普及協会の目的と町の願いは次の三つにしぼられた。
@ 神龍湖の浄化
A 有機の里づくり
B 生ごみリサイクルによる循環型社会の構築
●神龍湖の浄化―――――
普及協会の活動の中で現在―番力を入れて進めているのは観光の目玉である神龍湖浄化の取り組みである。
@EM活性液の投入
神龍湖は国定公園帝釈峡の中心となる景勝地で、神石町の観光産業の要である。しかし神龍湖には生活廃水が流れ込むため水質汚染が進み、夏には悪臭を放ち、観光地としての魅力が大きく損なわれる危機に瀕している その打開策として、EM活性液の投入を平成14年4月からスタートした。投入期間は、浄化効果の高い4月から10月までの7ケ月間で、地形等の十分な調査検討のうえ、投入場所や投入量が決定された。
AEMタンゴの投入 EM活性液の他にEMダンゴの投入も行っている。平成14年は神石小学校
全校生徒が授業(1時間)の中で3000個を作り、その他にEM普及協会や女性会、ボランティアが作り、合計12,000個を用意した。平成15年も同様に8000個のEMダンゴを用意した。 神龍湖への投入は遊覧船から行い、小学校3,4 年生、神石中学校
の環境委員、ふれあい作業所員、普及協会の会員らが参加した。 子どもたちは遊覧船に乗れる楽しさもさることながら、湖がきれいになることを期待し喜んでいた。これは各地方紙の備後版に大きく取り上げられた。
B家庭からの浄化(米のとぎ汁EM発酵液の活用)
米のとぎ汁EM発酵液
を家庭で利用している人は普及協会会員130名のほかに200人くらいおり、町内全世帯の約3分の1の人が活用していることになり、それが神龍湖に流れこんで浄化をすすめている。
Cきれいになった神龍湖
EM活性液を投入してまもなく神龍湖の臭いがなくなっていくのが分った。また、湖面の色が真っ黒な色から青く変わり始めた。
EM活動の良さは単に湖が縞麗になるだけでなく、各家庭で使うことから集落排水の下水桝が綺麗になったり、合併浄化槽の汚泥が減ったり、臭いが無くなったり、町内全体の環境や人の心にまで好影響を与えられることであろう。
●有機の里づくり―――――
有機の里づくりに向かっての本格的な取り組みは平成14年11月から始まった自然農法 の講習会である。
この講習会は普及協会主催で町が後援しており、初回は自然農法の基礎とEMの活用
について、平成15年3月は稲作り、6月は秋野菜を中心とした畑作、9月には稲の収穫をひか
えて来年の取り組みをかねた稲作と土づくりの講習会をおこなった。町が後援したこともあり、毎回30〜50人の参加者があり盛況であった。高齢化が進んだ最近でこれだけ参加者のある講習会はとても珍しい。
神石町では現在、約10名がEMを使った自然農法での水稲栽培を行っている。
そして有機JASの認定
を受けているFさんは、水稲栽培に取り組んでいる農家の中から認定者を増やし、有機の里づくりを進めていきたいと考えている。
●生ごみリサイクルによる循環型社会の構築―――――
有機の里づくりのもう一つの大きな動きは、家庭菜園への取り組みである。
町では家庭菜園への支援としてコンポスト容器・生ごみ処理機の購入補助を平成13年に行うなど、EMを使った生ごみリサイクルによる堆肥づくりを推進している。
その成果として「甘くて美味しい野菜ができる」「安心安全な野菜が化学肥料や農薬を使わなくても立派に育つ」「アトピー性皮膚炎の症状が軽くなった」等といった評判が、口コミで拡がっている。家庭菜園への取り組みを通して生ごみリサイクルは進み、自分で食べるものは自分で作るようになってきた。また自然の野菜を販売する直売所も充実してきて、町民は身近なところでとれる作物を求めるようになってきている。 普及協会の夢はさらに広がり、「堆肥センター」とEMを絡ませて「有機の里づくり」を目指している。
●町民が変わってきた―――――
町と普及協会の願いである三つの取り組みを通して、町民の意識は着実に変化してきている。
まず神龍湖の取り組みを通して環境に対する意識が高まり関心を持つ人が多くなった。
安全安心への意識も変わってきている。買って食べることは簡単だが、多くの人々が自分で食べる野菜は自分で作ることを心がけるようになった。そして地元でとれる作物を食べるよう心がけるようにもなった。直売所での野菜の売れ行きは良くなっている。
●まとめ―――――
神石町の町民は物やお金を優先する価値観から自然や生命を大切にする考え方に変わろうとしている。そして神龍湖浄化の取り組みを契機として、町民の多くが美しい町づくりに取り組むようになった。美しい町は町民の誇りとなり町全体が蘇生化してきた。有機農業への取り組みも進められ、農業に活力が戻りつつある。 神石町の「健康」「支えあい」「健やかな笑顔が幸せを呼び温かい心が幸せを支える」という願いが現実のものとなろうとしている。
このことは宮野町長の願いを神石EM普及協会が率先して進めてきたことでもあり、ボランティア活動と行政が一体となったすばらしい成果だと言える。
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最終更新日 平成22年4月10日
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